SIMレーサーの皆様、ご機嫌よう!
前回は、私の自作PCのCPUを換装し、6コア12スレッドのRyzen 5 5600Xから、8コア16スレッドで3D V-Cacheを採用したRyzen 7 5800X3Dへアップグレードするまでの経緯を書きました。
今回は実際に換装して、効果はあったのか?の解答編です。
⚫︎CPUクーラーを新調したこと
5800X3DはL3キャッシュの容量増加で熱に厳しいとの前評判でしたので、10年近く使用したサイズの兜2から、JIUSHARKのJF13Kに換装しました。
私のPCはオープンフレームで、マザボの真正面からサーキュレーターの風を当てて、CPUとGPU、SSDを強制対流でガンガン冷やす思想ですので、トップフロー方式は拘りポイントです。
っていうか兜はSocket754の時代から対応してるので、AMDだと20年以上前のCPUから使えたんですね。基本構造が変わらないって素晴らしい。
取付はねじ止めするだけと、至って簡単でした。むしろ台座のフックに引っ掛けるタイプの兜よりシンプルで楽。これもオープンフレームの作業しやすさの恩恵でしょう。
逆にMicroATXケースに装着しようとすると、ツールパスや手で保持するスペースの確保が難しいと思います。それらの場合はマザボを外してから作業するか、簡易水冷を選ぶのが無難かもしれませんね。
⚫︎乗せ換え時のトラブル
①fTPMの切り忘れ
旧環境である5600Xを搭載した状態で、UEFI画面からfTPMを解除する必要があったのですが、ワタクシ古い時代の人間なので(言い訳)まさかCPU側で暗号化技術が適用されてるとは夢にも思いませんでした。(単なるリサーチ不足です)
おかげで何度試してもWindows起動できず、換装をやり直すハメに。。。皆様はご注意くださいませ。
②SAMが適用されない?
AMDのSmart Access MemoryというCPUとVRAMのやりとりを高速化する技術です。
UEFI画面でCSMの無効化と、PCI Configの設定変更は実施したのですが、AMD Software上でSAMが有効と表示されない。。。仕方ないので、以下ベンチはSAM無効で実施しました。
んでもって後日、何度か再起動していたら、しれっと反映されていました。。。マジで謎。
⚫︎3DMARKベンチ
まずはド定番のベンチマークソフトで実力チェックしました。
TimeSpy (5600X)
TimeSpy (5800X3D)
FireStrike (5600X)
FireStrike (5800X3D)
DX12テストのTimeSpy、DX11テストのFireStrikeともに10%程度スコアが伸びました。CPUスコアでは20~30%上昇。
ほぼほぼ期待していた通りの数値が出てくれています。不良品を引かずに済んだ事は確認できました。
テスト時はSAMが適用されていなかったので、多少GPUスコアが落ちているのはそれ込みで誤差レベルでしょう。
CPU温度は20%程度上昇。それでも最高で69℃を保てているので、一先ずクーラーの冷却性能も大丈夫そうです。
真夏が心配ですが、そこは様子見ですね。
⚫︎AssettoCorsaベンチ
AC純正のベンチマークでの比較テストを実施しました。しかしHWiNFO64を記録採り忘れる大チョンボ。。。
FHDシングルモニタ環境で、FSRやAFMFは無効。できる限りEPICな描画設定で比較しました。
5600X
5800X3D
ソフト上のFPS値を比較すると、スタート直後の落ち込みが明らかに改善しています。最低69fpsまで下がっていたものが、140fpsをキープできていますので、やはりCPU換装は、一定の効果がありそうです!
⚫︎AssettoCorsa実使用
次にVRでプラクティスモードの首都高MOD SRP v0.9.1をKunos純正NDロドスタで1周し比較しました。私の環境では最新の有料版CSPとPureを入れており、時間は夜0:00、芝浦PAスタートです。
描画設定は中程度で基本90FPSが出せて、時折45FPSまで落ちる程度の負荷。
AMD SoftwareでのFPSロギングは失敗。なぜかACは上手くFPSが認識されません。
HWiNFO64のFPS測定を見る限り、AFMFの効果が顕著に出るようになりました。軽いとこだと280fpsとか出てます。。。
ただし、首都高でのFPS低下は、GPU依存の様子。銀座付近の重さは相変わらずです。
負荷がそこまで重くない(90FPSが出せる)領域では、AFMF効果が出ている様子。
CPU温度はピークで53℃まで上がりましたが、これなら夏場も大丈夫そうですね。
GPU温度、負荷率、消費電力はほぼ変わらず。
⚫︎AssettoCorsaCompetizione実使用
VRのシングルで、鈴鹿で16台を相手のクイックレースを実施しました。スタート位置は8番手から。
ここでもAMD SoftwareでのFPSロギング失敗。やっぱしRadeonと相性悪い?(笑)
FPSの低下自体はやはり発生しています。スタート直後は90FPSを保てない場面も見受けられました。
しかしそれ以上に、換装前後で、明らかに不快なスタッタリングが消え、挙動も穏やかで集団走行が容易な印象になりました。
HWiNFO64のFPS測定を見ると、5600XではVRAM上限(16GB)に張り付いていたのが30%ほど削減でき、余裕が出来ています。吃音の解消はこれが要因かもしれません。
CPU温度はピークで55℃まで上がりましたが、旧環境とほぼ変わりません。
GPU温度、負荷率、消費電力もほぼ変わらず。
⚫︎まとめ
今回はレースSIMの為のCPU換装ということで、一般的なPCベンチと、AC、ACCでの実使用で比較しました。
私の環境として、ゲーミング用途のみのPCであるため、このようなテストと結果となりましたが、動画編集や3Dデータ作成などのクリエイティブな用途に用いられる場合は、また異なる評価もあると思います。
まず最大の懸念であった、ACCでの走行中の吃音によるFFB情報への影響には、絶大な効果有でした。
特に、VRAMの使用率が低下し余裕が持てるようになった点は、当初想像もしていない副産物的メリットでした。
逆にVRで遊ぶACCってこんなにハードウェアへの要求が高いんですね・・・。認識を改めました。
また嬉しい誤算として、今回のテストでは、システムの最大温度や、消費電力にほぼ差が見られませんでした。
いずれも大幅な上昇も覚悟していたため、電源ユニットの交換はまだ心配しなくてもよさそうです。
また、周囲にAI車が近接している状況でのFPS値の落ち込みにも、一定の改善が見られたのも、当初の狙い通りでホッとしたポイントです。私の4万7千円は無駄じゃなかった…!
一方で、AC首都高の様に、やはり根本的なGPU性能が不足しているケースも再確認できました。
VRを使用して、ある程度の画質で、夜の首都高をオンラインやAI車ありの環境で遊ぶならば、RX7900XTXや、RTX4090などのハイエンドGPUが必要になると思われます。マジで沼ですね。。。
またCPUについても、第13世代Core i9や、Ryzen7 7800X3D等の最新レベルのものが要求されるでしょう。
結論として、私から見た5800X3Dの投資対効果の評価としては、満足いくものでした。
PCの性能なんてすぐに陳腐化しますので、最高の環境は最新の環境、が基本です。従って万人にはオススメしませんが、既にAM4環境を持っている方で、GPUの性能が活かしきれていないと疑いを持っている場合は、試してみる価値があるのではと思います。